不妊治療で病院を変えるタイミングは?判断するポイントや注意点を紹介

医者の手と赤ちゃんのマーク

不妊治療を長く続けていると、「本当に今の病院で治療を続けるべき?」「他にもっといい病院があるかも」と感じることもあるのではないでしょうか。
実際に、治療が長引いたり、医師との信頼関係に不安を感じたりする場合、転院を選ぶ方も少なくありません。

ただし、病院を変えるタイミングを誤ると、治療の進行や費用面に影響することもあります。

この記事では、不妊治療で病院を変えるべきタイミングや判断のポイント、転院時に注意したい点をわかりやすく解説します。

不妊治療中に病院を変えることは可能

先生に相談している様子

不妊治療の途中で病院を変えることは、決して珍しいことではありません。

治療が長引く中で、「このままで結果が出るのか?」と不安を感じたり、医師との信頼関係が築けなかったりすることは誰にでも起こり得ます。

転院の主な理由としては、治療方針や検査内容への疑問、医師の説明不足、待ち時間や通院距離などの負担が挙げられます。
特に、最新の検査や高度な体外受精(IVF)などの技術を導入している病院へ移ることで、治療の選択肢が広がることもあるでしょう。

転院の際、現在の治療経過や検査データを引き継ぐ手配をしておけば、新たな病院で治療を一からやり直す必要はありません。

自分に合った環境で前向きに治療を続けるためにも、「転院は、より良い選択をするための一歩」と考えてはいかがでしょうか。

不妊治療で病院を変えるべき5つのタイミング

基礎体温表と体温計

続いては、不妊治療で病院を見直したほうが良いとされる代表的な5つのタイミングを紹介します。

同じ治療を続けて結果が出ない

半年から1年以上同じ治療を続けているにもかかわらず妊娠の兆しがない場合は、治療方針を見直すサインです。

タイミング法や人工授精を複数回試しても結果が出ない場合、体外受精などへのステップアップを検討すべき時期かもしれません。

同じ病院で治療方針の変更を提案されない場合は、他の病院でセカンドオピニオンを受け、より自分に合った方法を探すことをおすすめします。

医師との信頼関係が築けない

不妊治療は身体的にも精神的にも負担が大きく、医師との信頼関係がなければ継続が難しくなります。
「質問しにくい」「説明が不足して不安が残る」と感じるようであれば、治療のたびにストレスが増してしまうでしょう。

一方で、親身になって話を聞いてくれる医師のもとであれば、不安を和らげながら前向きに治療を続けられます。
安心して相談できる環境を選ぶためにも、医師との相性を重視して転院を検討しましょう。

治療方針が自分の希望と合わない

不妊治療の方針は、病院ごとに異なります。
「できるだけ自然妊娠を目指したいのに、初診から体外受精を提案された」「検査や治療の進め方が一方的」などのケースでは、方針のズレを感じやすいでしょう。

自分が納得できる形で治療を進めることは、長期的なモチベーション維持にもつながります。
治療への考え方が合う病院に変えることで、ストレスを減らしながら前向きに取り組めるようになるでしょう。

ステップアップの提案がない

年齢や検査結果に応じて治療内容を見直すことは、不妊治療では非常に重要です。

長期間同じ治療を続けているのに医師から次のステップを提案されない場合、「治療が停滞しているのでは?」という不安を抱きやすくなるでしょう。

「この治療をいつまで続けるのか」「次の段階に進む目安は何か」などの説明がない場合、積極的に改善を提案してくれる医療機関への転院を検討するケースが多いようです。

費用や通院負担が大きい

不妊治療は、通院回数が多く、検査や採卵などで高額な費用がかかることもあります。
また、通院に時間がかかることや、仕事との両立が難しいことなどの負担が積み重なると、心身の疲労が大きくなることもあるでしょう。

このような場合、無理なく通える立地や費用体系の病院に変えることで、長期的に安定した治療を受けやすくなる可能性があります。
補助金制度や助成金を活用できるかどうかも、転院先を選ぶ際の重要なポイントです。

不妊治療で病院を変えるべきか判断するポイント

病院や医者と患者の模型

 

不妊治療で病院を変えるべきかどうか迷ったときは、感情的に判断するのではなく、客観的な基準に沿って見極めることが大切です。

ここでは、不妊治療の転院を検討する際に、押さえておきたい4つのポイントを紹介します。

病院の治療実績や専門を確認

「不妊治療専門クリニック」といっても、病院によって得意分野や治療実績には大きな差があります。

体外受精や顕微授精の成功率が高いクリニックもあれば、男性不妊やホルモン治療を専門に行う医院、子宮筋腫や子宮内膜症を抱える女性への治療を得意とする医院など、特徴はさまざまです。

そのため、転院を検討する際には、自分がどの段階の治療を受けているのかを理解し、年齢や体の状態に合った治療技術を持つ病院を選ぶことが大切です。

セカンドオピニオンを受ける

転院を迷っている段階であれば、セカンドオピニオンとして、他院を一度受診してみるのがおすすめです。
別の医師に現在の治療内容や検査結果を見てもらうことで、自分の治療方針が適切かどうかを客観的に判断できます。

他院の意見を聞いた結果、「今の病院で治療を続けるほうが良い」とわかる場合もあるでしょう。
その場合でも納得感を持って治療を継続できるという大きなメリットがあります。

治療方針や検査内容を比較する

転院を考える際には、各病院の治療方針や検査の内容を比較しておきましょう。
最新の検査技術を導入している病院であれば、個々の患者に合わせたより精密な治療が可能です。

例えば、ERA検査を行うことで、最も着床しやすい時期を特定し、妊娠率を高めることができます。また、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や卵管閉塞など、原因が明確な場合は、専門的な症例を多く扱っている病院を選ぶとより安心できます。

説明会や初診相談を活用し、自分の希望や考え方と合うかどうかを確認しましょう。

口コミや評判を参考にする

実際に通院している人の口コミや体験談を参考にすることで、公式情報だけではわからない病院の雰囲気や対応を知ることができます。

主に、以下の3つはチェックしたいポイントです。

診療体制
  • 医師やスタッフの説明が丁寧でわかりやすいか
  • 医師の経験と技術力に安心感があるか
待ち時間
  • 予約は取りやすいか
  • 待合室での待ち時間は長すぎないか
サポート体制
  • 気軽に相談できるカウンセラーがいるか
  • 託児サービスはあるか

口コミはあくまで参考ですが、同じ悩みを持つ患者の声から、病院の強みや改善点を把握できます。
信頼できる第三者の情報を活用し、総合的に判断することで、自分に合った病院を見極めやすくなるでしょう。

不妊治療で病院を変えるリスクと注意点

指をさす医者

不妊治療の転院は珍しくありませんが、進行中の治療に影響する可能性があります。
保険適用回数(ARTの通算管理)や費用、凍結胚の移送方法など、制度面と実務面の両方を確認してから判断すると、治療の空白や無用な再検査を避けられるでしょう。

体外受精・顕微授精の保険適用回数は転院してもリセットされないため、受療歴を正確に申告できるよう資料をそろえておきましょう。

紹介状・治療記録の引き継ぎが必要

転院時は、紹介状・検査結果・治療履歴(採卵数、胚のグレード、移植歴、使用薬剤、刺激法、ホルモン値等)を新しい病院へ正確に共有することが重要です。
紹介状があると初診からの評価がスムーズになり、再検査や治療やり直しのリスクや費用負担を抑えやすくなります。

病院によっては、転院に際して、紹介状や本人確認書類、婚姻関係を証明する書類などの提出が求められることもあります。
受け入れ側の要件を事前に確認し、不備がないように準備しましょう。

関連記事:不妊治療の転院に紹介状は必要?内容や依頼方法、注意点を解説

治療のタイミングがずれる可能性

転院準備には時間がかかるため、排卵周期や採卵・移植スケジュールにズレが生じることがあります。
凍結胚がある場合でも、移送日程や受け入れ日、支払い・書類提出の手続きを行い、移送日を確定してから治療計画を組み直す流れが一般的です。

初診の空き状況や移送手配の所要日数を踏まえ、次周期に無理なく間に合うかを確認して計画しましょう。

転院に伴う凍結胚輸送は慎重に

凍結胚の移送は、液体窒素を染み込ませた専用容器(ドライシッパー)で極低温を維持しながら行うのが基本です。
多くの医療機関が専門業者経由の移送を推奨していますが、自分で運ぶ場合もドライシッパー使用が前提となります。

温度変化や衝撃は凍結胚が損傷するリスク要因になるため、専門業者の利用がより安全です。
移送費用は自己負担が原則のため、事前に見積もりや必要書類を確認しておきましょう。

不妊治療で病院を変えるときの伝え方

ハートを持つ妊婦

不妊治療での転院は、決して珍しいことではありません。
実際に多くの方が、治療の方向性や通院環境を見直す過程で病院を変えています。

しかし、長く通った病院の医師にどう伝えるべきか迷う方も多いでしょう。
無理に理由を詳しく説明する必要はなく、角の立たない伝え方を意識するのがポイントです。

ここでは、不妊治療で病院を変えるときの伝え方について、例を交えて紹介します。

【現在通っている病院への伝え方】
例1:これまで丁寧に診ていただいてありがとうございました。
しかし、最近、通院に時間がかかることが負担になってきてしまい、家や職場の近くの病院に通うことを考えています。
例2:家族と話し合った結果、別のクリニックでも相談してみようということになりまして、転院を検討しています。紹介状やこれまでの検査データをお願いできますでしょうか。

「ほかの治療方針も聞いてみたい」など、今の気持ちを正直に伝えても問題ありません。
医師は患者の意思を尊重する立場にあり、紹介状の発行を断られることはほとんどないでしょう。
どうしても医師本人に直接言いづらい場合は、受付や看護師を通して「転院のために検査データと紹介状をお願いしたい」と伝えましょう。
書面の発行には数日かかることもあるため、余裕をもって依頼しておくのが安心です。

【転院先の病院への伝え方】
例1:前の病院では人工授精まで進めましたが、結果が出なかったので、治療を引き継いで新たにお願いしたいと思っています。
例2:以前の検査結果を持ってきましたので、内容を踏まえて今後の治療方針を相談させていただければと思います。
例3:これまでの経過を踏まえたうえで、少し違う方法を試してみたいと考えています。改めて治療の進め方についてご相談させてください。

初診時に紹介状や検査データを持参すると、スムーズに治療を再開できます。
「これまでの治療を踏まえて新しい方法を試したい」など、自分の希望や悩みを率直に伝えることで、医師も適切な治療計画を立てやすくなるでしょう。

転院は後ろ向きな決断ではなく、より自分に合った治療環境を見つけるための前向きな一歩として考えることが大切です。
どのケースでも、感謝の気持ちを添えて理由を簡潔に伝えると、円滑に対応してもらいやすくなります。

不妊治療中の凍結胚輸送はCryoSendにご相談ください

先生と話している様子

不妊治療中に病院を変えるのは、決して珍しいことではありません。

ただし、転院時には凍結胚の移送という大切な工程が発生することがあります。
採卵・受精・凍結といった一連の治療を経て保存された胚は、今後の治療成果を左右する非常に重要なものです。
そのため、安全かつ確実に新しいクリニックへ届けるためには、専門業者への依頼が安心です。

CryoSend(クライオセンド)では、日本国内外のクリニックへ安全に凍結胚や卵子、精子を輸送するサービスを提供しています。
徹底した温度管理により、創業以来、事故が発生したことはありません。
極低温輸送が可能なドライシッパーを使用し、経験豊富なスタッフがハンドキャリーで輸送します。

輸送時の温度を監視するためのデータロガーを使用するなど、凍結胚輸送中の温度管理を徹底して行っております。
不妊治療中の転院により、凍結胚の輸送が必要な場合は、CryoSendにご相談ください。

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