ワクチン輸送は温度管理が重要!安心・安全に届けるためのポイントを解説

容器と注射器

ワクチンの品質と効果を確保するためには、輸送時の「温度管理」が何より重要です。特にCOVID-19 mRNAワクチン(ファイザー社)などは、-70℃といった超低温での保管・輸送が求められるため、一般的な物流体制では対応が難しいケースもあります。

この記事では、ワクチンを安心・安全に輸送するための温度管理のポイントや、輸送手段について解説します。

ワクチン輸送に適切な温度

液体が入っている容器

ワクチンは、その種類によって輸送時の適切な温度が異なります。
温度が逸脱すると有効成分が変質し、ワクチンとしての効果が失われる恐れがあるため、厳格な温度帯の維持が求められるのです。

まずは、ワクチンの主な温度帯として「超低温」「冷凍」「冷蔵」の3つに分けて、それぞれの特徴と注意点を解説します。

超低温(-70℃以下)

超低温輸送が必要なワクチンの代表例が、COVID-19 mRNAワクチンです。これらのワクチンは脂質ナノ粒子などの成分が高温に弱く、-70℃前後の環境でなければ品質を維持できません。

一般的な冷凍車や冷凍庫では対応が難しいため、液体窒素を使用した「ドライシッパー」が利用されます。

CryoSend(クライオセンド)のドライシッパーは、最低でも1~2週間、-150℃以下の超低温状態を保ち、ワクチンの品質低下や損傷のリスクを低減します。
航空輸送にも対応しているため、国内外の長距離輸送においても信頼性の高い輸送手段です。

冷凍(-20℃以下)

-20℃以下での保管が求められるワクチンには、組換えタンパク型や凍結乾燥型などが含まれます。
一般的な冷凍庫や冷凍車での管理が可能なため、比較的扱いやすいと言えるでしょう。

ただし、輸送中に温度が上下するリスクは依然として存在するため、温度ロガーによる継続的な記録や、ドライアイスによる補強保冷が必要です。

冷蔵(-2~8℃以下)

インフルエンザ、麻しん、風しんなど、一般的に多く使われているワクチンは、冷蔵での輸送が可能です。

比較的対応しやすい温度帯ですが、輸送中の温度変化によって有効性が低下するリスクは存在します。
医薬品専用の保冷ボックスや冷蔵車両による管理が基本で、万が一輸送中の温度が逸脱した場合には、再評価や廃棄の判断が行われることがあります。

ワクチン輸送に必要な容器・設備

並べられている青い蓋の液体の容器

ワクチンの品質と有効性を保ったまま届けるには、輸送時の温度を正確かつ安定して管理できる専用の容器や設備が不可欠です。
ここでは、ワクチン輸送でよく使用される代表的な設備・容器について、それぞれの特徴と活用シーンを紹介します。

ドライシッパー

ドライシッパーは、液体窒素を吸収材に保持し、内部を-150℃以下に保つことができる低温輸送専用容器です。
IATA規格に準拠しており航空機輸送にも対応可能なため、国内外の長距離・長時間輸送においても安心して利用できます。

主に、超低温での輸送が必要なCOVID-19 mRNAワクチンに用いられており、破損リスクを抑えた構造と温度逸脱のリスクを極限まで減らせる点が評価され、多くの医療機関や研究施設で採用されています。

ドライアイスを用いた特殊容器

-20℃程度の冷凍ワクチンを輸送する際によく使用されるのが、ドライアイスを使用した特殊容器です。
断熱性能に優れた梱包容器にドライアイスを封入することで、一定期間-20℃以下の温度帯を維持することができます。

ただし、ドライアイスは昇華して二酸化炭素ガスとなるため、換気や積載量の制限など安全面の配慮が必要です。
また、保冷時間には限界があるため、輸送時間が長くなる場合はドライアイスの補充や温度管理の工夫が求められます。

温度センサー付きの保冷ボックス

2〜8℃の冷蔵温度帯で輸送する一般的なワクチンには、温度センサー付きの保冷ボックスが活躍します。
内部に保冷剤をセットし、外気温の影響を抑える構造になっており、電源が不要なため搬送の自由度が高いのが特徴です。

温度センサーを搭載していることで、輸送中の温度履歴を記録できるほか、異常時のアラート通知が可能なモデルもあり、安全な輸送を実現できるでしょう。
主に短距離輸送や接種現場へのラストワンマイルでの使用に適しています。

医薬品専用の冷蔵・冷凍車両

大量のワクチンを一括で運ぶ際には、医薬品輸送に対応した冷蔵・冷凍車両が用いられます。
温度帯ごとに区分された荷室を持ち、車両全体に温度センサーが設置されているため、走行中も温度管理が徹底されています。

また、GPS機能と連動することで、車両の位置情報や温度状況をリアルタイムで把握できるシステムを搭載した車両もあり、特に都市部から遠隔地、または接種拠点を複数巡回する輸送において、高い信頼性を発揮します。

温度ロガー

ワクチンの輸送時には、容器や車両の温度を記録し、後から確認できる「温度ロガー」の使用が義務づけられることもあります。
温度ロガーは一定間隔で温度を記録し、異常があればアラートを発するため、温度逸脱をいち早く検知できるでしょう。

また、温度管理が適正に行われていたことを証明するための記録データの保存にも役立ちます。
特に高価で希少なワクチンの輸送では、温度履歴が品質保証の一部として求められるケースもあります。

安心・安全なワクチン輸送のポイント

pointの模型

ワクチンを確実に接種現場へ届けるためには、「温度管理」と「輸送手段」の両面で高い管理体制が求められます。

適正な温度管理の維持

ワクチンは種類によって適切な温度帯が異なり、-70℃以下の超低温、-20℃の冷凍、2〜8℃の冷蔵など、それぞれに対応した輸送方法が必要です。

輸送中の温度逸脱はワクチンの有効性を大きく損なうため、温度ロガーやセンサー付き保冷容器を用いたリアルタイム管理が欠かせません。

特にCOVID-19 mRNAワクチンのように超低温が求められる場合は、ドライシッパーの使用が有効です。

安定した輸送手段の確保

温度管理が万全でも、輸送手段が不安定では意味がありません。
交通渋滞、自然災害、配送ミスなどのリスクに備え、医薬品輸送の専門知識を持つ物流業者の活用が推奨されます。

また、冷蔵・冷凍機能付きの専用車両やハンドキャリー、航空輸送対応の梱包資材などを適切に使い分けることも重要です。
さらに、輸送経路の事前確認やバックアップ体制の構築により、想定外のトラブルにも柔軟に対応できる輸送体制が求められます。

ワクチン輸送はCryoSendにご相談ください

上空を飛んでいる飛行機

超低温環境が求められるワクチンの輸送には、高度な温度管理と専門的なノウハウが必要です。

CryoSendは、-150℃以下を1~2週間維持できるドライシッパーを用いた超低温輸送・コールドチェーン輸送を提供しています。
国内外の研究機関・医療機関・製薬企業との豊富な取引実績があり、輸送計画の立案から温度ロガーによるトラッキング、通関手続きまでワンストップで対応可能です。専門スタッフが丁寧にサポートいたしますのでご安心ください。

安全・確実なワクチン輸送をご検討中の方は、ぜひCryoSendにご相談ください。

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