液体窒素運搬容器「ドライシッパー」とは【凍結保存・極低温輸送】

薬品がベルトコンテナで運ばれている様子

液体窒素は、生命科学や不妊治療、生殖医療分野において、凍結保存や極低温輸送に欠かせないものです。

液体窒素を容器内にある充塡剤に吸着させ、気相環境下で保管できる運搬容器「ドライシッパー」を使用することで、胚盤胞、卵子、精子などの大切な検体を、安全かつ効率的に輸送することが可能です。

この記事では、液体窒素運搬容器の仕組みや種類、運搬方法や注意点について解説します。

液体窒素とは

無職透明の液体

液体窒素は、窒素ガスを極低温(約-196℃)で液体化したものです。

特徴としては、極めて低い温度であること、無色・無臭・無味であること、そして揮発性が高いことが挙げられます。

液体窒素の主な使用目的としては、医療や研究における細胞や組織の凍結保存、食品産業での急速冷凍、さらには産業用途での超伝導体冷却などがあります。

一般的な低温輸送に用いられるドライアイス(固体二酸化炭素)は-78.5℃なのに対し、液体窒素は-196℃と極めて低温です。

凍傷や急速な気化による酸欠のリスクもあり、十分な注意と適切な取扱いが必要になるでしょう。

液体窒素運搬容器の仕組み

透明な容器

液体窒素運搬容器は、生体試料や検体、医薬品などを極低温で安全に運搬するために設計されています。

断熱材を使用して内部の温度を維持し、液体窒素吸着材に液体窒素を吸着させることで、液体窒素の気化を最小限に抑える構造です。

また、圧力調整機能や安全弁が備わっており、安全に使用できるようになっています。

これにより内部の圧力が一定に保たれ、万が一の過圧による爆発を防ぐことができます。

液体窒素運搬容器の種類

様々な種類の薬品

液体窒素運搬容器には、主に以下の種類があります。

ドライシッパー(凍結試料搬送容器)

ドライシッパー(凍結試料搬送容器)は、検体や生体試料を安全に低温輸送するための容器です。

内部が液体窒素で冷却され、極低温状態を長時間維持できるため、長距離の輸送や海外への輸送に適しています。

液体窒素凍結保存容器(小型・中型)

小型から中型の液体窒素凍結保存容器は、主に研究室や小規模な医療施設で使用されます。

液体窒素の容量は175L以下で、少量の検体や生体試料を効率的に凍結保存するのに適しています。

液体窒素凍結保存容器(大型)

大型の液体窒素凍結保存容器は、主に大規模な施設や産業用途で使用されます。

液体窒素の容量は175L以上で、大量の検体や生体試料、医薬品を凍結保存するのに適しています。

可搬式液体窒素供給容器

可搬式液体窒素供給容器は、液体窒素を供給するための移動式容器です。

研究施設や工場などで広く利用されており、現場で液体窒素の補充ができるなど、利便性の高さが特徴です。

デュワー瓶

デュワー瓶は、ガラスまたは金属製の真空二重構造の容器で、液体窒素の短期保存や小規模な移送に使用される液体窒素容器です。

真空断熱により外部の温度変化を受けにくく、液体窒素の気化を抑えます。

軽量で耐久性が高いため、扱いやすいのが特徴です。

液体窒素運搬容器の運び方

ビックリマークのイラスト

極低温の液体窒素運搬容器を運ぶ際は、その取扱いに特別な注意が必要です。

ここでは、安全かつ効率的に液体窒素運搬容器を運ぶための基本的な手順を紹介します。

2名以上で垂直に持つ

液体窒素運搬容器は非常に重いため、2名以上で垂直に持つことが推奨されます。

垂直に持つことで液体窒素が均等に容器内に分布し、内部圧力の急激な変化を防ぐことができるため、事故のリスクが減少します。

容器の転倒を予防する

液体窒素の漏れや容器の損傷を防ぐため、運搬中は容器が転倒しないように慎重に扱いましょう。

特に凍結試料を運ぶ場合、液体窒素運搬容器の転倒は、検体や生体試料の損傷、品質低下、汚染につながる可能性があります。

運搬時には、滑り止めマットや固定ベルトを使用し、安全性を高めることが重要です。

エレベーターは使用しない

液体窒素運搬時には、エレベーターの使用をできる限り避けることが推奨されています。

エレベーター内で容器が転倒し、ガスの漏洩や急速な気化が起こると、酸欠事故につながるリスクがあります。

どうしてもエレベーターを使用しなければならない場合は、運搬者は同乗せず、出発階と到着階で待機しましょう。

液体窒素運搬容器の輸送は専門業者に依頼しよう

キャリケースと飛行機の画像

液体窒素を用いた検体や生体試料の極低温輸送は、特別な取扱いが必要です。

個人で運搬できないわけではありませんが、安全かつ確実に輸送するなら、専門業者に依頼することをおすすめします。

CryoSend(クライオセンド)は、これまでに国内外へ2,500件以上のドライシッパー輸送実績があります。

安全で確実な手段で、お客様の大切な検体・生体試料の凍結保存・極低温輸送をサポートいたします。

豊富な知識と経験を持つ専門のスタッフによるハンドキャリー輸送のため、これまでの輸送中で事故が発生したことは一度もございません。

世界各国の法規制に従った安全な運搬方法で、国際輸送も可能です。

詳しいサービスの内容や金額については、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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