実験用マウスの輸送には、細心の注意を払う必要があります。
輸送時の環境が悪いと、脱走して他の荷物に紛れてしまったり、死亡してしまったりと重大な事故につながる恐れもあるでしょう。
また、マウスの凍結胚輸送は、専用容器を用いて低温状態を維持したまま行わなければいけません。
この記事では、マウス輸送の具体的な方法や注意点について詳しく解説します。
マウス輸送とは
マウス(通常はハツカネズミ)は、100年以上前から実験に活用されています。
なぜ、マウスが実験に活用されているのか、その理由には大きく以下の3つがあります。
- ヒトと同じ哺乳類である
- 繁殖能力が高く、世代交代期間も短いため、個体数の確保が容易である
- 全遺伝子の塩基配列が解読されている
実際に、マウスによる実験がヒトの医療に役立っているケースも珍しくありません。
また、実験に使用されるマウスには、以下のように複数の種類があります。
- 生体マウス
- 突然変異マウス(突然変異系統)
- 遺伝子改変マウス
さらに、マウスそのものではなく、凍結胚や精子が実験に用いられることもあります。
まずは、マウスの種類に応じた適切な輸送方法について紹介します。
生体マウスの輸送
生体マウスを輸送する際には、マウスにストレスがかからないように配慮する必要があります。
マウスをはじめとする実験動物は、輸送時にストレスを感じると、病態を発症することがあるからです。
生体マウスの輸送時には、環境省が告示している「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(実験動物飼養保管基準)」を遵守する必要があります。
輸送には、マウスの輸送に適した容器を使用し、必要に応じて給餌や給水を行うなどの工夫が必要です。
また、陸上輸送の際には、空調付きの動物専用車の使用が原則となっています。
遺伝子改変マウスの輸送
遺伝子改変マウスとは、人工的な操作で遺伝子の改変が行われたマウスのことです。
遺伝子改変マウスの輸送時には、生体マウスの輸送と同じく、マウスにストレスがかからないように配慮する必要があります。
また、遺伝子改変マウスの輸送時には、絶対に逃亡させないことが大切です。
そのため、輸送にはロック付きのラット運搬用ボックスを使用し、蓋がずれないように結束バンドで固定するなどの工夫が必要になります。
突然変異マウスの輸送
突然変異マウスとは、人工的な操作を行っていないのにも関わらず、特定の遺伝子や染色体に突然変異が生じたマウスのことです。
突然変異マウスの輸送時には、遺伝子改変マウスの輸送時ほどの逃亡防止措置は必要ないとされています。とはいえ、やはり逃亡されないよう、最低限の措置は必要となるでしょう。
また、輸送時にはマウスにストレスがかからないように配慮し、陸上輸送の際には、空調付きの動物専用車を使用することが求められます。
マウス凍結胚の輸送
マウスの生体ではなく、凍結胚を輸送するケースもあります。
凍結胚とは、体外受精でできた受精卵を凍結させたものです。
凍結胚の輸送は、マウス生体の輸送よりも低コストで行うことができるというメリットもあります。
ただし、輸送時には-196℃の極低温状態をキープできる専用容器ドライシッパーを用いる必要があります。
輸送中に温度が上がってしまうと、凍結胚が死滅してしまう恐れがあるため、十分に注意しましょう。
マウス凍結精子・胚の輸送
凍結胚(受精卵)ではなく、精子を凍結させたもの(凍結精子)や胚(2細胞期胚)を輸送するケースもあります。
凍結精子については、凍結胚と同じくドライシッパーでの輸送が必要ですが、雄のマウスから精巣上体尾部のみを採取して、低温で輸送するという技術も確立されています。
精巣上体尾部のみであれば、4〜8℃の温度で輸送が可能になります。
48時間以内の輸送が求められるため、国内輸送が対象となります。
マウス輸送の注意点
環境省が告示している実験動物飼養保管基準では、マウス輸送時の注意点が以下のようにまとめられています。
輸送容器
生体マウスの輸送には、グラスファイバーや硬質プラスチックなどが用いられた容器を用いる必要があります。
また、動物が自然な姿勢で立ち、体が回転できる大きさでなければいけません。
また、凍結胚や凍結精子などの輸送には、液体窒素を充填できる専用容器ドライシッパーが用いられます。
ドライシッパーは、取り扱いに専門的な知識を有する容器なので、輸送の際には専門業者に依頼するのが一般的です。
輸送車両
生体マウスの陸上輸送の際には、空調付きの動物専用車の使用が原則となっています。
また、国際輸送などで航空便を利用する必要がある際には、できるだけ輸送時間を短くするなどの工夫が必要です。
温度管理
生体マウスの輸送時には、徹底した温度管理が求められます。
車両内の温度が急激に上昇・低下することがないよう、季節に応じた配慮が必要です。
また、ドライシッパーを用いた凍結胚や凍結精子の輸送時にも、徹底した温度管理が求められます。
マウス凍結胚や精子の輸送にはドライシッパーを活用しよう
実験用マウスを輸送する際には、命を守るための徹底した環境管理が求められます。
特に、凍結胚や凍結精子を輸送する際には、専用容器ドライシッパーを使用する必要があります。
CryoSend(クライオセンド)は、ドライシッパーを用いた低温輸送の専門業者です。
国内外で2,500件以上の実績を持ち、これまで輸送中の事故が発生したことは一度もございません。
実験用マウスの凍結胚・凍結精子の輸送は、ぜひCryoSendにご相談ください。
※CryoSend(クライオセンド)は、ドライシッパーを用いた低温輸送の専門業者です。当社では、凍結胚と凍結精子の輸送を取り扱っております。