細胞の凍結保存は、再生医療や生殖医療の現場、大学などの研究機関、畜産業等で幅広く活用されている技術です。
この記事では、細胞の凍結保存が必要な理由や、具体的な保存方法、期間などについて詳しく解説します。
細胞の凍結保存が必要な理由
凍結保存とは、細胞などの生体材料を液体窒素に近い温度(-196℃以下)で保存する実験技術です。
細胞株の維持にかかる時間や労力、経費を節約できるため、細胞を他機関へ輸送する際の必須技術として幅広く利用されています。
また、細胞を凍結保存することで、細胞の長期継代に伴う変化を防止することができます。
現在も、世界中の細胞バンクでさまざまな株化細胞が凍結保存されています。
さらに畜産業や生殖医療の現場においては、卵子や精子といった生殖細胞や受精卵の凍結保存が行われています。
細胞の凍結保存方法は専用容器で
細胞の凍結保存には、専用容器が必要です。
また、凍結保存細胞の輸送にも専用の容器が必要となっています。
輸送に用いられるのは、ドライシッパーです。
ドライシッパーとは、液体窒素を充填することで極低温状態をキープすることができる輸送容器で、細胞の凍結保存や輸送に用いられています。
航空輸送に適した規格のドライシッパーであれば、国内のみならず、海外への細胞輸送にも活用することができます。
細胞の凍結保存における生存率は
適切に凍結保存された哺乳類動物の細胞株は、数ヶ月〜数年後に解凍するまで状態を維持することが可能です。
しかし、すべての細胞株が生存できるわけではなく、細胞を凍結保存する場合、生存率は75%以上であることが望ましいとされています。
不妊治療クリニックなどが公表している凍結受精卵の生存率については、これより高いことが多いです。
細胞の凍結保存には、細胞変性や細胞死のリスクがあることも押さえておきましょう。
細胞の適切な凍結保存期間は?
細胞の適切な凍結保存機関は、細胞の種類や保存状態によって異なります。
一般的に言われている細胞の適切な凍結保存期間は、以下の通りです。
受精卵の凍結保存期間
不妊治療の現場では、凍結保存された受精卵を融解して移植する「凍結胚移植」が頻繁に行われています。
受精卵を凍結保存することで、タイミングや条件に合わせた妊活が可能になるのはもちろん、採卵を毎回行う必要がなくなるというメリットがあるからです。
また、採卵は女性にとって痛みを伴う施術であり、精神的にも身体的にも負担がかかります。一度の採卵で複数の受精卵を凍結保存することができれば、不妊治療における負担の軽減につながるでしょう。
卵子の凍結保存期間
受精卵ではなく、受精前の卵子を凍結保存するという方法もあります。
がんなどに罹患し、その治療により卵巣の機能が低下する可能性がある場合や、加齢などの理由で子どもができない状態になることが想定される場合に用いられています。
対象となるのは、将来的に結婚や妊娠を望む未婚女性が多いです。
もちろん、妊娠のタイミングを将来に先延ばししたい既婚女性も、卵子凍結という手段を選ぶことがあります。
若い頃の卵子を凍結保存しておくことで、妊娠しやすい期間を引き伸ばすことができます。
妊娠率や流産率については、卵子を凍結した年齢のまま維持できると考えられているからです。
卵子の老化は、34歳ごろから急激に進むと考えられています。
また、卵子の数は限りがあり、年齢とともに減っていくことがわかっているため、卵子凍結に興味を抱く未婚女性は少なくありません。
凍結保存した細胞の輸送はドライシッパーで
凍結保存した細胞を輸送するためには、専用容器ドライシッパーが必要です。
ただし、ドライシッパーは液体窒素を充填させることで極低温状態をキープしているため、重量もあり、扱いが難しい容器でもあります。
そのため、ドライシッパーを使用した凍結細胞の輸送は、専門の業者に依頼することをおすすめします。
不妊治療クリニックの転院や研究施設の移設などで、凍結細胞の輸送が必要な場合には、ぜひCryoSend(クライオセンド)にご相談ください。
CryoSendは、ドライシッパーを用いた低温輸送の専門業者です。
国内外で2,500件以上の実績を持ち、豊富な知識と経験を持つ専門のスタッフによる輸送のため、これまでの輸送中で事故が発生したことは一度もございません。
詳しいサービスの内容や金額については、お気軽にお問い合わせください。