不妊治療中にやむを得ない事情で引っ越しが決まった場合、凍結保存中の受精卵(凍結胚)をどうすべきか悩む方も多いでしょう。凍結胚は、引っ越し先で通院を予定している別のクリニックに輸送することも可能です。
この記事では、不妊治療中の引っ越しで問題となる凍結胚の取り扱いや、凍結胚を輸送するときの注意点について解説します。
不妊治療中の引っ越しで問題になる凍結胚
不妊治療中の引っ越しで問題となるのが、凍結胚の取り扱いです。
凍結胚とは、凍結保存された受精卵(胚)のことです。
近年では、凍結技術の進歩により、胚へのダメージをほとんど与えることなく、胚を凍結し、その後融解して胚移植ができるようになっています。胚を凍結せずに移植する新鮮胚移植よりも、凍結融解胚移植のほうがむしろ妊娠率が良いという報告も挙げられ、胚だけではなく、卵子を凍結保存することも可能です。
胚の移植について
凍結・融解方法はメーカーによって異なりますが、融解した胚の移植には、「ホルモン補充周期による移植」が行われるのが一般的です。
これは貼り薬や飲み薬で子宮内膜をつくってから胚移植をするというもので、子宮内膜の調整が確実にできるというメリットがあります。
胚の凍結保存についての注意点
それぞれのクリニックにおいて、凍結胚を保存できるスペースは限られています。
そのため、凍結保存できる胚の数に個数制限を設けているクリニックもあるようです。
また、凍結胚の保存には多額のランニングコストがかかることも珍しくありません。
そのため、不妊治療中に引っ越しが決まって転院が必要になった場合、2つのクリニックに同時に凍結胚を保存するというケースは少なく、どう扱えば良いか悩む方が多いです。
不妊治療中に引っ越しが決まったら方法は2つ
不妊治療中に引っ越しが決まった場合の凍結胚の取り扱いとしては、以下の2つが考えられます。
治療中のクリニックに保存する
現在治療中のクリニックの医師との相性が良い場合や、保存中の凍結胚を有効に活用したいという場合には、そのまま凍結保存を継続し、引っ越し後もこれまでと同じクリニックに通院するというのも一つの方法です。
引っ越し先が遠方の場合は負担がかかるものの、実際に新幹線や飛行機を利用して不妊治療を続けている方も少なくありません。
これまでと同じクリニックに通うことで安心して治療を続けられるほか、凍結胚を輸送する手間も費用もかかりません。また、不妊治療のために公共交通機関を使って移動した場合には、交通費を医療費控除の対象に含めることができます。
凍結胚を転院先に輸送する
凍結胚は、以前よりも安全かつ簡単に輸送できるようになりました。
そのため、引っ越し先で新しいクリニックを見つけ、そこで治療を続けていくという方法もあります。
保存中の凍結胚は、転院先のクリニックに輸送することができます。これまで良い結果がでなかったという方は、引っ越しを機に病院を変えることで、良い結果につながることもあるでしょう。
引っ越しに伴う転院を決めた場合は、現在治療中のクリニックに伝えて紹介状を書いてもらいましょう。合わせて、検査結果、治療履歴などのデータを引き継いでもらうことで、転院先での再検査を省略できるケースもあります。
ただし、以前よりも安全にできるようになったとはいえ、凍結胚の輸送はリスクを伴うものです。さまざまな手続きや準備も必要なため、専門知識を持つ医師や業者に相談しながら、慎重に行うことをおすすめします。
不妊治療中の引っ越しで凍結胚を輸送するときの準備や注意点
不妊治療中の引っ越しにより、クリニックを転院すると決めたら、凍結胚の輸送が必要です。ここからは、凍結胚を輸送する場合の準備や注意点について解説します。
専用容器を使用する
凍結胚の輸送には、極低温状態を長期間維持することができる特殊な輸送容器が必要です。
一般的に用いられる容器としては、液体窒素の吸着剤が内蔵された「ドライシッパー」があります。ドライシッパーは、マイナス150度以下の極低温状態を最長21日間渡って維持することができるため、航空輸送にも用いられる容器です。
ドライシッパーはレンタルもしくは購入することができます。
複数の書類提出が必要
凍結胚の輸送にあたっては、それぞれのクリニックへの輸送に関する同意書等、提出書類を用意する必要があります。また、輸送に飛行機を使用する場合、航空会社や空港に提出書類の作成も必要です。
引っ越し準備が忙しい中で書類を作成しなければならないので、大変な手間がかかるでしょう。
凍結胚の輸送は、ドライシッパーの手配から書類の作成・提出、当日の輸送まで、すべてを一貫して専門業者に任せることも可能です。凍結胚輸送の実績が豊富な専門スタッフがハンドキャリーまたはコールドチェーン輸送によって転院先のクリニックに届けてくれるため、安心して任せられるのはもちろん、引っ越し準備にかかる負担を軽減できるのもメリットです。
出庫手数料・入庫手数料がかかる
凍結胚の輸送にあたっては、それぞれのクリニックに支払う手数料の金額を調べておきましょう。
現在治療中の出庫(持ち出し)手数料、転院先となる新しいクリニックには入庫(持ち込み)手数料を支払うことになります。
手数料の金額はクリニックによって異なるため、事前に確認しておくことが大切です。
輸送中の破損や紛失などのリスクがある
凍結胚の輸送は以前と比べてより安全にできるようになりました。
しかし、いくらドライシッパーを使用していても、破損や紛失などのリスクがゼロになるわけではありません。
もしも輸送中に破損させてしまい、容器の温度が上昇してしまうと、凍結胚が死滅してしまうこともあるでしょう。輸送に伴って、大事に管理していた凍結胚を失ってしまうのは、なんとしても避けなければいけません。
凍結胚輸送は、自分でドライシッパーを用意して、自家用車などを利用して輸送することも可能ですが、その場合、輸送中の破損や紛失などのリスクの責任をすべて自分で背負うことになります。不妊治療は、もともと非常にストレスのかかる治療のため、凍結胚の輸送が余計なストレスを与えるものとなることも避けたいところです。
凍結胚の依頼について実績豊富な専門業者に依頼することでリスクを低減することができ、精神的な負担も軽くなるのではないでしょうか。
不妊治療中は専門業者に依頼して凍結胚も一緒に引っ越そう
引っ越しに伴い、不妊治療中のクリニックの転院を決めた場合は、凍結胚の輸送についても早めに手配することをおすすめします。
とはいえ、ただでさえ引っ越し作業が忙しい中で時間を作り、ドライシッパーの手配やクリニック間の日程調整、提出書類の作成などを進めていくのは大変な作業です。
また、凍結胚の輸送には、破損や紛失といったリスクも伴います。
不妊治療中に引っ越しをする際の凍結胚輸送は、実績と信頼のある専門業者に依頼し、すべてを一貫して任せてみてはいかがでしょうか。
CryoSendには国内外のクリニックへ凍結胚や凍結卵子などを輸送してきた豊富な実績があります。高性能なドライシッパーを利用し、お客様の凍結胚を安全に輸送いたします。
ハンドキャリー輸送はもちろん、飛行機を用いた航空輸送にも対応できますので、国内はもちろん、国外へのお引っ越しでも対応可能です。
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