液体窒素のボンベ輸送は危険物に該当する？ドライシッパーの運搬方法について

液体窒素は、その極低温性質と広範な用途から多くの産業で利用されています。

しかし、その取り扱いと輸送には高度な注意が必要です。

特に、液体窒素ボンベは国際的な規制に基づく危険物に該当し、航空機搭載制限貨物とされています。

この記事では、液体窒素ボンベの輸送に関する規制と注意点、そして液体窒素を充填したドライシッパーの運搬方法を紹介します。

液体窒素とは

液体窒素は、窒素を極低温に冷却して液体状態にしたもので、その温度は−196°Cです。

窒素は空気中にもっとも多く存在する気体で、通常は目に見えない状態です。

しかし、−196℃で液体となり、−210℃で固体になるという特徴があります。

窒素の極低温性質は、食品の急速冷凍や医療用の冷却、科学実験など幅広い用途で使用されています。

液体窒素の用途

液体窒素の主な用途は、以下の通りです。

バイオ医療分野では、細胞、検体、ワクチン、血液などを超低温で保存し、品質を維持するために液体窒素が使用されます。

また、生体試料の長期保存や輸送に利用されることも多いのが特徴です。

体外受精（IVF）関連物質の保存・輸送は、極低温で行う必要があるだけでなく、慎重に作業を行うことが求められます。

そのため、信頼できる専門業者に依頼することをおすすめします。

液体窒素保存・輸送容器の種類

液体窒素を安全に保存・輸送するためには、適切な容器が必要です。

以下は、液体窒素の保存・輸送に用いられる主な容器の種類を紹介します。

液体窒素の凍結保存容器（小型・中型）は、175L以下の液体窒素を保存するための容器で、研究所や医療施設で使用されます。

175L以上の凍結保存容器（大型）は、大量の液体窒素を長期間保存するための容器で、産業用途に適しています。

凍結試料搬送容器（ドライシッパー）は、容器内にある充塡剤に液体窒素を吸着させ、気相環境下で搬送を行うための容器です。

関連記事：液体窒素輸送容器（ドライシッパー）とは？種類や特徴について

液体窒素ボンベの輸送は危険物に該当する？

液体窒素ボンベは、国連危険物輸送勧告の高圧ガスに分類されます。

そのため、航空輸送や海上輸送においては、危険物輸送の規則に従う必要があります。

具体的には、国土交通省が定めた技術基準に適合した容器を使用し、「UN検査証（unマーク）」を表示することが求められます。

ドライシッパーは航空輸送できる？

ドライシッパーは、液体窒素を完全に吸着させ、安全に極低温を維持できる専用容器です。

吸着されていない液体窒素を取り除いた状態で輸送するため、輸送中に液体が漏れ出る心配はありません。

国際航空運送協会(IATA)の定める規則に准じた構造で、2007年に危険物適用が除外され、国際輸送はもちろん、国内線を含む航空機内持込も可能です。

安心して利用できる液体窒素保存・輸送容器なので、バイオ医療関連物質の輸送、生体試料の輸送、体外受精（IVF）関連物質の輸送など、幅広い用途で利用されています。

液体窒素輸送容器（ドライシッパー）輸送は専門業者に依頼しよう

液体窒素ボンベは高圧ガスに分類されるため、輸送時は危険物としての取扱いが必要です。

しかし、液体窒素輸送容器（ドライシッパー）は、液体窒素を完全に吸着させた状態で輸送をするため、バイオ医療関連物質や生体試料を安全に極低温状態で運ぶことができます。

ただし、ドライシッパーを用いたとしても、バイオ医療関連物質や生体試料をトラブルなく安全に輸送するためには、輸送中も絶えず徹底した温度管理が必要となります。

特に国際輸送の場合、目的地まで荷物を届けるには、通関手続きを行う必要もあります。

破損や紛失事故を防ぎ、スムーズな輸送を実現するには、必要書類の準備から空港のセキュリティ対応を含めたハンドキャリーが可能な専門業者に依頼するのがおすすめです。