治験薬とは、医薬品としての販売申請が承認される前の薬のことです。
副作用の有無や安全性、効果を確かめるために患者への投与が行われます。
ただし、治験薬は、一般には流通させることができない薬なので、輸送の際には細心の注意を払わなければなりません、薬の種類によっては、徹底した温度管理も必須です。
この記事では、治験薬輸送が必要になるケースや、具体的な手順、注意点について解説します。
治験薬輸送が必要なケース
まずは、治験薬輸送が必要になる事例について解説します。
治験実施施設(医療機関)から患者の自宅へ
治験薬は、一般的に医療機関にて患者に手渡されます。
しかし最近では、治験薬を受け取りに医療機関を訪れるのではなく、自宅で受け取ることを望む患者が多いのも事実です。
そのため、一部の医療機関では患者宅への治験薬輸送を行っています。
治験薬保管施設(デポ)から患者の自宅へ
治験薬保管施設(デポ)から患者の自宅へ、直接治験薬を輸送できないかという要望も多いです。
ただし、地域や国の規制によっては認められていない場合もあり、日本でもデポからの直接輸送の手法は明確化されていません。
しかし、将来的には、医療機関からの指示の下、治験依頼者または委託先の治験薬倉庫から患者宅へ直接輸送が実現する可能性も示唆されています。
治験薬の輸出・輸入
日本の製薬会社が開発した薬を海外の治験実施施設(医療機関)へ直送したり、海外の製薬会社が開発した薬を各国の治験薬保管施設(デポ)経由で仕入れる場合には、治験薬の輸出・輸入に伴うさまざまな手続きが必要です。
また、国際的な治験の場合は、治験実施国の規制要件を理解する必要があり、治験薬を迅速かつ安全に供給するためのサプライチェーン管理、温度管理を徹底しなければいけません。
治験薬を患者の自宅に輸送する際の課題
治験薬を患者の自宅に輸送する際の主な課題としては、
- 温度管理が必要な薬剤の輸送時の温度逸脱
- 輸送日時に患者が不在だった場合の取り扱い
などが挙げられます。
このような課題を解決できれば、治験薬の自宅への輸送はもっと身近なものになるでしょう。
治験実施医療機関が少なく遠方からの来院が困難な希少疾患の患者など、これまで治験にアクセスできなかった患者の参加機会の拡大につながることが期待されています。
治験薬輸送の基本的な手順
治験薬を患者の自宅へ輸送する基本的な手順は、以下の通りです。
輸送日時の決定
まずは、患者の希望に合わせて、輸送日時を決定します。
治験薬は、輸送日の当日に担当者に受け渡すことが原則です。
保管容器の準備
治験薬の輸送には、徹底した温度管理が求められるケースがあります。
極低温状態での輸送が必要な場合には、液体窒素を充填できる専用の輸送容器、ドライシッパーを使用するのが一般的です。
CryoSend(クライオセンド)でも、治験薬の輸送には専用のドライシッパーを使用しています。
治験薬受領書などへのサイン
輸送業者は、治験薬を受け取る際に、必ず治療薬受領書などにサインをします。
受け取り時刻も記入するのが一般的です。
患者の自宅で手渡し
治験薬は、患者の自宅で輸送業者によって手渡しされます。
この時にも、治験薬受領書などに受け取り時刻とサインを記入してもらうのが一般的です。
ただし、どうしても患者が直接の手渡しを拒む場合には、自宅玄関前に置配するという手段もあります。
いずれにしても、確実な引き渡しが重要です。
前回治療薬・使用済容器の回収
治験薬を継続的に輸送している場合は、前回の治療薬や使用済み容器を回収する必要があります。
治験薬の残りについては特に厳重に扱う必要があるため、回収のための封筒や容器を持参するのが一般的です。また、残薬を入れた後は、必ず患者の手で封を行わなければいけません。
治験薬輸送の注意点
続いては、治験薬輸送時に注意すべきポイントを解説します。
GCP省令を遵守
治験薬の輸送では、GCP省令を遵守する必要があります。
GCP(Good Clinical Pracrice)省令とは、国が定めている治験ルールのことで、欧米諸国を始め国際的にも認められています。
GCP省令では、治験薬の品質管理を徹底することはもちろん、治験薬の性質が危険物に該当する場合には、適切な対処を行うことなどが詳しく定められています。
また、業務の運営体制や輸送手順についても、しっかりと管理することが求められています。
国や地域の法律・規制の遵守
治験薬輸送にあたっては、薬事法などの法律や地域ごとの規制も遵守しなければいけません。
また、国際的な治験においては、治験を実施国の規制要件に対しても理解を深める必要があります。
徹底した温度管理
治験薬の輸送には、徹底した温度管理が求められます。
そのため、断熱容器や蓄熱剤・保冷剤を用いて一定の温度を保つことが必要です。
また、治験薬の中には、極低温での管理が必要なものもあります。
その場合は、ドライシッパーなどの専用容器が用いられるほか、温度ロガーによる輸送中の監視が必要なケースもあります。
専門知識を有するスタッフ
治験薬の輸送は、徹底した品質管理の下で行う必要があります。
温度管理ができる容器を用意するだけでは、万が一の事態に対応できません。
そのため、輸送容器の取り扱いや輸送手順を熟知した、治験薬輸送の専門スタッフに任せるほうが安心です。
治験薬輸送は医薬品・検体輸送も実績豊富なCryoSendにお任せください
治験薬の輸送は、徹底した品質管理と温度管理の下で行う必要があります。
また、薬の性質によっては、極低温状態を保ったまま輸送することが求められるため、-150℃以下の低温状態で輸送できるドライシッパーの活用がおすすめです。
CryoSend(クライオセンド)は、ドライシッパー輸送の専門業者です。
経験豊富なスタッフによるハンドキャリーサービスで、治験薬をはじめ、医薬品や検体も安心・安全に輸送いたします。
創業以来、国内外の医療機関や研究機関への2,500件以上の輸送実績を誇りますが、輸送中に事故やトラブルが発生したことはございません。
詳しいサービス内容や利用料金については、CryoSendまでお気軽にお問い合わせください。